ご相談事例

相続についてご相談:熊本市 T様

Q:司法書士の先生にお尋ねします。認知症の母が相続人になりました。相続手続きを行うことは難しいと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。(熊本)

先日熊本の実家でひとり暮らしをしていた父が亡くなりました。
相続人にあたるのは母と私と弟の3人です。
葬儀を終えたので現在は遺品整理などを行っていますが、父には遺言書などはないようなので、遺産分割について話し合う必要があるかと思います。
父の相続財産は、父が住んでいた熊本の実家と銀行に預けてある1000万円ですが、これから始まる相続手続きにおいて不安があります。
実は母は数年前より認知症を患っていて、症状が重いため施設で生活しており、話し合いはおろか、署名や押印すらできない状態ではないかと思うのです。
相続人に認知症を患う方がいる相続について司法書士の先生のアドバイスいただければと思い問い合わせました。(熊本)

A:認知症を患う方がいる場合の相続手続きは、家庭裁判所において成年後見人を選任してもらう方法があります。

法律行為である遺産分割は、認知症等により判断能力が不十分とみなされると参加することはできなくなります。
認知症、知的障害、精神障害などで意思能力が不十分な方がいらっしゃる相続においては、まず家庭裁判所において成年後見人という代理人を選任してもらい、その成年後見人に遺産分割を代理してもらう方法があります。
成年後見制度とは意思能力が不十分であるとされた方を保護するための制度です。

遺産分割協議を行うにあたり、ご家族の方であっても正当な代理権もなく認知症の方の代わりに相続手続き等の行為を行うことは違法となるということに注意して下さい。

成年後見人はご家族や相続人などが家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所は、相応しいと思われる人物を選任します。
成年後見人には、親族のみならず、専門家が選任されることも少なくありません。
また、複数の成年後見人が選任される場合もあります。

【成年後見人にはなれない人物】

  • 未成年者
  • 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
  • 破産者
  • 本人に対して訴訟をした又はしている人、その配偶者、その直系血族
  • 行方の知れない者

成年後見人が選任される場合に注意していただきたいことがあります。
成年後見人は一度選任されると、遺産分割協議後も法定後見制度の利用が継続することになりますので、専門家など第三者に依頼した場合、その後も費用が発生することになります。
その後のお母様の生活にとっても必要かどうかよく考えて法定後見制度を活用しましょう。

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