ご相談事例
相続に関する相談
遺言書についてのご相談:熊本市 S様
Q:死期が迫った病床の父は、どのような遺言書を残せるでしょうか?(熊本)
熊本市内の病院に病気入院中の高齢の父がいます。先日、父の主治医から、「父の死期が迫っており、いつ意識がなくなるかわからない。」と告げられました。私は、父の亡き後に、父の相続人となる娘ですが、父から、「意識がはっきりしている間に遺言書を残しておきたい。どのような方法で遺言書を残したらよいか専門家に相談してほしい。」と頼まれました。父の病状から、熊本市内にある病院から外出することはできませんが、病床でどのような遺言書を残すことができるでしょうか?(熊本)
A:お父様の場合、自筆証書遺言、公正証書遺言、一般危急時遺言の方式で遺言書を残すことが考えられます。
お父様の死期が迫っているということですが、お父様が病床でも意識が明確であって、ご自身で遺言の内容と遺言書を作成した日付とご署名のすべてを自書し押印できる状況であれば、すぐにでも自筆証書遺言を作成することができます。なお、自筆証書遺言に添付する財産目録については、お父様が自書する必要はなく、ご相談者様がパソコンで作成した表やお父様の預金通帳のコピーを添付する方法でもよいとされています。
もし、お父様の意識が明確であっても、遺言書の全文を自書することが難しいのであれば、公証人にお父様の病床まで出張していただき公正証書遺言を作成することもできます。公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なり、その原本が公証役場に保管されるので遺言書紛失の可能性がありません。また、自筆証書遺言の場合に必要な家庭裁判所による遺言書の検認手続きの必要がありませんので、ご相談者様がお父様の相続手続きをスムーズにすすめることができます。
しかし、公正証書遺言を作成する場合、遺言書を作成する際に立ち会ってもらう二人以上の証人と公証人にお父様の病床に来てもらう必要があるので、日程の調整等に時間が必要となる可能性があります。お父様のご病状によっては、公正証書遺言を作成する前にお父様の意識がなくなってしまい、遺言書自体を作成できなくなるかもしれません。
もし、緊急にお父様の死期が迫ったとしても意識が明確であれば、3人以上の証人に立ち会ってもらいそのうちの1人にお父様が遺言の内容を口で伝え、その人が筆記するという一般危急時遺言を作成することができます。危急時遺言は、遺言書作成の特別の方式であり、民法では、その作成方法の要件や一定の期間内に家庭裁判所の確認を得ないと遺言自体の効力が生じないなどの定めがあります。したがって、緊急時ではありますが、是非、専門家のサポートを受けて作成するようにして下さい。
一般危急時遺言を作成する場合だけでなく、お父様の遺言を確実に実現するために、自筆証書遺言と公正証書遺言の作成に際しても、専門家のサポートを受けることをお勧めします。遺言書の作成についてお困りの熊本近隣にお住まいの方は、ぜひ福岡プラス相続手続センターへとご依頼下さい。スピーディーに遺言書を作成することができるように、お手伝いをさせて頂きます。